今日は
「コンテナ節税が国税に否認された話」です。
2020年2月13日にマザーズに上場しているエリアリンク(株)から
次の発表がされました。
エリアリンク(株)は「節税になる?コンテナ」を
販売している会社です。
コンテナは「器具備品」として短期間で償却できる前提でした。
コンテナは種類により、2年、3年、7年の耐用年数
短期間で減価償却費を計上しながらも、
投資後のレンタル料が入る「利回る節税?商品」という前提でした。
しかし、これが国税から否認された事例が複数出たとのことなのです。
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当社がお客様に販売した上で借上げしストレージとして
運営するコンテナについては、
税務上、耐用年数表に基づき
「器具・備品」のうちの「コンテナー」として
減価償却することが一般的です。
しかしながら、2019年度上期に、
当社がコンテナを販売したお客様が、税務当局より、
建築基準法に基づく建築確認の申請をしているコンテナについて
「器具・備品」ではなく「建物」としての
耐用年数を適用すべき旨の
更正処分を受ける事態が発生し、
また、その後も同様の指摘を受けて修正申告を行う事例が
数件発生しております。
当社としては、税務、法務の専門家の意見をふまえ、
このような指摘は限定的かつ個別的な一過性の事象と
捉えておりました。
しかし、当年に入り税務当局から、
建築確認の申請をしているコンテナについて、
当社のお客様が「器具・備品」として減価償却をしていることに関し、
当社に対して、建築確認の申請をしているコンテナの販売状況等の
任意の情報提供を要請を受けるに至りました。
このような経過から、当社としては、
今後も当局から同様の指摘を受ける事例が発生する可能性が
高まっていると予想するに至りました。
「器具・備品」として償却できることを前提に
購入されているお客様としては、
商品の大きな特長の一つが
失われるため、
買い取りを希望されるケースが一定程度生じることを見込んでおります。
出典:エリアリンク株式会社「IR情報」より一部抜粋
そこで、「買戻損失引当金繰入額を約 50億円計上するなど、
合計約59億円の特別損失を計上する見込みとなった」
ということで、
「特別損失の計上による業績予想の修正」が発表された訳です。
これに関して争われる事例が今後出てくるかもしれませんが、
まず、国土交通省のホームページからの一部抜粋を2つ取り上げます。
コンテナを利用した建築物の取扱いについて
近年、コンテナを倉庫として設置し、
継続的に使用する例等
が見受けられますが、
このような随時かつ任意に移動できないコンテナは、
その形態及び使用の実態から
建築基準法第2条第1号に規定する建築物に該当します。
このため、一般に、建築基準法に基づく確認申請を行い、
確認済証の交付を受けないと設置できませんので、
ご留意ください。
これに関係する通知の1つに下記があります。
コンテナを利用した建築物に係る違反対策の徹底について
平成26年12月26日
しかしながら、
コンテナを倉庫として設置し、
継続的に使用する物件等において、
建築基準法の構造関係規定や用途規制へ
の違反が疑われるものが
依然として見受けられ、
これらの物件においては、地震等に対する
構造耐力不足や
周辺の住環境への悪影響が懸念されます。
結果として、「随時かつ任意に移動できないコンテナかどうか」が
大きなポイントになります。
これに該当すれば、器具備品ではなく、建物となり、
耐用年数も長くなり、「節税商品」としての意味が薄くなるのです。
建築確認を受けなければ違法建築になる物件は建築物です。
もちろん、建築確認申請が不要なケースもありますが、
「建築確認が必要 = 建物」という国税の見解は正しいと
個人的には考えます。
では、「建築確認をしなければ建物でなくなるのか?」というと、
本来は建築確認をしなければならない物件であれば、
それは「単なる違法建築」ということです。
これは興味深い要素がある事例なので、
否認されたケースにおいて、
最低でも高裁までは争ってみて欲しいと個人的には思います。
エリアリンク(株)は上場会社なので、
「コンテナは耐用年数が短く、節税になります」
と断定的に説明していた訳ではないと思いますが、
コンテナに限らず、
このような節税商品には否認リスクもあるのです。
世の中には色々な節税商品がありますが、
〇 投資商品としてのリスク(為替リスクなど)
〇 国税に否認されるリスク
ということをよく考えなければなりません。